出会う前のキミに逢いたくて
オレはその場にいることができず、足早にレジに向かった。

とにかく早く、今すぐにでも原田くんに会わなきゃまずい。

涙の理由を探るには、当事者に話を聞くしかないもの。

けど、オレは彼を直視できるのかな・・・。

笑顔で話しかけられるだろうか・・・。

2ヵ月後にマヤのすべてを手に入れる男を相手に・・・。

人生最大の試練であることは間違いない。

大人の振る舞いを要求されるような気がする。

心の内と180度違う態度をとることが求められる。

「この野郎!」と心の中でナイフを構えつつ、顔ではヘラヘラと笑ってなきゃいけない感じ?

この時代に来たばかりのときに公園で見かけたサラリーマンが頭に浮かんだ。

彼はきっと毎日仕事で自分を押し殺しているんだろう。

オレにとっては果てしなく高いハードルだった。
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