出会う前のキミに逢いたくて
帰りの電車。

オレは座席に腰掛けたまま、ずっと下を向いていた。

学校帰りの子どもが心配そうにオレを見ていた。

「ありがとう。大丈夫だよ」と笑顔を返したが、その顔がやつれているらしく、子どもが訝しむ。

大好きな彼女の『今カレ』との遭遇は予想以上にヘビーでディープな作業だった。

一生分の焼きもちを同時に焼くようなものだもの。

ショックが大きいせいで、降りる駅を通り過ぎてしまったほどだった。

オレ、なにやってるんだよ。

自分の頭に何発もゲンコツを落とした。
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