出会う前のキミに逢いたくて
でも、おじさんだってオレくらいの年の頃、当時の中年サラリーマンを見て「こんな風になってたまるか」って決意したんだろうな。

ところが、最終的にはこうなってしまうわけか。

ということは、オレもいずれおじさんのように、おなかを突き出させ、刺激のない退屈で平凡な人生を歩むんだろうか。

奥さんや子供の幸せのためと割り切り、自らすすんで組織の歯車となる・・・。

こんな風におじさんの半生を熱心にプロファイリングしてみたけれど、向こうはオレに興味なんか全然なくて、まるでそこらへんに落ちている石ころでも見るみたいに一瞥をくれたあとは、スポーツ新聞に見入った。

出社にはちょっとまだ早い。
公園で暇をつぶそうというわけか。

おじさんはコンビニ袋から紙パックのコーヒー牛乳と焼きそばが挟まったパンを出し、子犬のように夢中でパクついた。

細長いパンの上にボリュームたっぷりの焼きそばとお約束の紅ショウガ。

二日酔いで胃がムカムカしているオレには、それほど、いや、まったくといっていいほど魅力的ではない。

それよりも激しく気になったのは新聞の一面見出しだった。

仰々しくこんなスクープ(?)がおどっていたのである。
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