出会う前のキミに逢いたくて
もしかして・・・具合でも悪くなったのかな。

ときどきおなかを壊すし。

突然、高熱が出て、ドラッグストアに駆け込んだとか・・・

胸の内に不安が広がってゆく。

しばらく何度か電話をかけてはみたけれど、シンジの声は聞こえなかった。

おなじみの音声ガイダンスが流れるだけだった。

「しょうがないか。とりあえず、取りかかるとしよう」

シンジからの連絡は気長に待とう。

そう決心し、呼び出し音量をいっぱいにしたスマホをテーブルに据え、食材を袋から引っ張り出した。

料理には多少の自信はあるんだ。

小さいころ、両親が共働きだったから、中学に上がるころからほぼ毎日のように、弟たちの夕食を作ってきた。

まあでも、だからといって、料理の才能があるとは思わないけど。

手先も器用とはいえないし。

それに、包丁さばきも我ながら危なっかしい。

事実、これまでに何度も血を見てきてるもの。
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