出会う前のキミに逢いたくて
「悪いけどさ、今からマヤの部屋に行ってもいいかな・・・」

「うん。もちろんいいよ。喜んで。じゃあ待ってるからね」

私が勇気づけてあげなくてどうするのよ。

電話を閉じると、部屋をまず掃除した。

マサキが通う病院から私のアパートまで電車と徒歩で1時間とかからない。

急がなきゃ。

せめて部屋を快適にして迎えてあげよう。

掃除がすむと着替えた。

以前マサキが「いいじゃん」と褒めてくれたワンピースに。

メイクを直して、髪を整えて、歯磨きをたっぷり時間をかけてして、彼の好きなCDを探し集めた。

何度か涙が出そうになった。

けど、ぐっとガマンだ。

5回目のガマンでチャイムが鳴った。

「いらっしゃい」

できるだけ自然な笑顔を作り、ドアを開けた・・・つもりだ。

「やあ」
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