出会う前のキミに逢いたくて
「マヤがいなかったら、きっとオレ、もっと心細かったと思うんだ」
マサキがけなげな笑顔をこちらに向ける。
何よりも嬉しい最高の言葉。
でもまた逆になってる。
本当は、わたしから彼の喜ぶ言葉、勇気がわく言葉を贈るべきなのに・・・。

「わたしにできることなら何でもするから」
やっとの思いでそう言うと、ついにガマンできなくなった。
言葉につまった。
すると、マサキが体を近づけ、ギュッと抱きしめてくれた。
ほんのり、いつもと違う匂い。
病院で嗅ぐあの独特の匂いが入り混じってる。
2人の運命が夢じゃなく現実であることをその忌まわしい香りが物語っている。
< 81 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop