【短編】純情彼氏
「晃?どうしたの?」
舞花が、動かない俺を見て
不思議そうな顔をした。
「なあ、舞花」
「なぁに?」
俺が手招きをすると
フライパンの火を止めて傍に来てくれた。
「6年前の約束、覚えてる?」
舞花は、こくりと頷いた。
この6年の間に
舞花の初めてはほとんど俺がもらっていて。
「なあ、舞花?
俺、本気で舞花の初めて奪うよ?」
「……うん」
絶対、舞花は意味わかってないな。
俺は、ポケットの中から
小さな箱を取り出した。