蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
6.更なる衝撃の事実
───その日の夜。
絢乃はリビングのソファーの上で、膝を抱え込んでいた。
頭の中でいろんなものがぐるぐると渦巻き、何が何だかよくわからない。
・・・あの後。
第二に行った絢乃に渡されたのは、貿易システムの商品マスタ対応の設計書だった。
相当ビクついて行ったので、周りの課員からは不審な目で見られてしまったが・・・。
貿易システムの改訂は来月から開始する予定なので、この時期に設計書を貰えるのは正直、ありがたい。
・・・が。
『・・・というわけで、絢乃ちゃん。来週までに、工数を出してみて?』
『・・・』
『大丈夫、絢乃ちゃんならすぐできるよ。もちろん、早い分には構わないからね?』
卓海はにこりと爽やかな微笑みを浮かべ、言った。
どうやら本性が出るのは絢乃と二人きりの時だけ、らしい。
・・・なんという二面性。
人は見かけによらないとはいうが、よらなすぎだろう。
はぁぁぁぁと大きなため息をついた絢乃を、隣に座っていた慧が不思議そうに見る。