蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「あいつが女にああいう態度を取るのは、女嫌いであることの裏返しなんだよ。あいつの甘い言葉に靡く女を、あいつは内心で毛嫌いしている」
「・・・は?」
「あいつにとって女は、遊びの対象であり侮蔑の対象だ。だからおれは、お前をあいつに近づけさせたくなかった」
「・・・」
なんだか凄まじいことを聞いてしまった気がする。
・・・ますます卓海という人間がわからなくなってきた。
頭を抱え込んだ絢乃に、慧はため息交じりに言った。
「ま、とにかく。これでアヤもわかったでしょ? あいつが救いようのない最悪なダメ人間だということが」
「・・・」
・・・そこまで言うか?
と思いつつも、ちょっとそれに賛同したい自分がいる。
はぁと息をつき、がくりと俯いた絢乃の肩を、慧は慰めるようにポンポンと叩く。
「とにかく、あいつには極力近づかないこと。わかったね、アヤ?」
「・・・う、うん・・・」
「そういえば。来週の土日、空いてる? 那須に行こうと思うんだけど」