蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「・・・」
なぜか、気になる。
絢乃はこれまで、自分のプライベートを話すことはなかった。
話す機会がなかった、というのが正しいが・・・。
絢乃はずっと、入社時から目を掛けてきた後輩だ。
もちろんこれからも、一緒に仕事をしていく仲間だと思っている。
───少なくとも、雅人がグランツ・ジャパンにいる間は。
けれど。
なぜか、絢乃のことをもっと知りたいと思う自分がいる。
こんなことは、これまでになかったことだ。
ただの好奇心なのか・・・
それとも・・・
と、ふと雅人は窓の外に目をやった。
見ると、駐車場を、見覚えのある人物が歩いていく。
あれは・・・。