蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「・・・加納と、秋月?」
雅人は目を見開いた。
絢乃は卓海に肩を抱かれるようにして歩いている。
その姿を見、雅人はなぜか、胸に黒いものが広がっていくのを感じた。
───なんだ、あれは?
絢乃は、自分と一緒に帰るつもりでいたと思うのだが・・・
なぜ、卓海と一緒に帰ろうとしているのか?
息を飲んだ雅人の視線の先で、絢乃は助手席に押し込められるように車に乗った。
その様子は、なんだか尋常ではない。
「・・・?」
やがて、車はゆっくりと発進し、駐車場を出て行った。
雅人は鋭い瞳で、その光景をじっと睨むように見つめていた。