蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
加納卓海。28歳。
第二開発課の課長にして、英語とドイツ語を操る社内きっての秀才。
データベースのスペシャリストでもあり、データベースの国家資格・ベンダー資格をほとんど取得しているハイレベルな技術者でもある。
若々しく爽やかな印象ではあるが、その整った顔立ちはどことなく繊細な雰囲気も漂わせている。
そして、性格は・・・。
「久しぶりだね、絢乃ちゃん。しばらく見ないうちに、またキレイになったね?」
「・・・」
卓海はにっこりと笑い、絢乃を見つめる。
絢乃は内心でため息をつきながら、苦笑いを浮かべた。
───そう。
卓海の性格を一言でいうと、女好きでフェミニスト。
課長としての能力は雅人と同じく一流なのだが、どういうわけか昔から女に囲まれ、そして本人も女性全般をこよなく愛している。
守備範囲は幼女から老女まで、・・・つまり見境がないと専らの噂だ。
「・・・しばらくって、一週間ぐらいじゃないですか・・・」
「細かいことは言わない。・・・ね、ここ空いてる?」