蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
絢乃はキッと顔を上げ、叫ぶように言った。
キュウリが嫌いなのは、昔からだ。
鼻をつまんで、目を瞑って飲み込めば食べれないこともないが・・・それは一般的に『食べる』とは言わないだろう。
「・・・そ。じゃあ今度、キュウリのフルコースにでも連れてってやろうか?」
「・・・は?」
「・・・冗談だよ」
卓海は言い、棒棒鶏の皿に残っていたキュウリを全て自分の皿へと回収した。
・・・どうやらキュウリは卓海が食べてくれるらしい。
絢乃はほっと肩を下ろし、箸を再び動かし始めた。