蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「・・・」
女の顔をあれだけ凝視したのは、絢乃が初めてかもしれない。
その後、卓海はすぐに慧に連絡し、絢乃が慧の妹だということを確認した。
慧がなぜ、妹がいることを黙っていたのか・・・
その当時はわからなかったが、先ほどの二人の姿を見、卓海は何となくその理由がわかったような気がした。
二人が一緒に居る姿を見たのは、今日が初めてではない。
しかしこれまで、二人が一緒に居る姿を見るたびに、卓海は何ともいえない不自然さを感じていた。
それが何なのか、今まではよくわからなかったのだが・・・。
しかし今日の二人の姿を見て、卓海は直感した。
───あれは、普通の兄妹の関係ではない。
なんというか・・・
漂う雰囲気が、普通の兄妹のものとは違う。
卓海にも姉妹がいるので、その違いははっきりとわかる。
どこが、と具体的には言えないのだが・・・。