蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
4.那須での夏休み
翌週の土曜。
絢乃は慧とともに、レンタカーで那須へと向かっていた。
レンタカーは今日の朝、宮崎平の駅前で慧が借りた。
車は首都高を抜け、東北道に入り、栃木方面へと走っていく。
「・・・アヤ、次、サービスエリアがあるけど。寄る?」
「うん」
絢乃が頷くと、車はすいーっと左車線へと入っていった。
そのまま那須高原サービスエリアへと入っていく。
駐車場に車を止めた後、二人はサービスエリアの売店へと入った。
那須高原サービスエリアは近くに高原やら牧場やらが多いせいか、乳製品をメインにした洋菓子のお土産が多い。
「うわ、どれも美味しそうだな。これだけあると迷うな~」
「・・・慧兄、買うのは帰りだからね?」
さくっと絢乃が釘をさすと、慧は物凄く残念そうな顔をした。
・・・ひどく気落ちした、その表情。
そのあまりに残念そうな顔に、絢乃ははぁとひとつ息をついた。
慧はずっと運転してくれているし・・・ここで少し休憩するのもいいかもしれない。