蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「・・・じゃあ、ひとつだけだよ? 車で食べていこう?」
「え、いいの?」
慧は目を輝かせて絢乃を見る。
・・・まるで少年のように純粋なその笑顔。
これだけの美貌でその表情は反則だ、と思いながら絢乃は慧を見上げた。
「・・・私、飲み物買って先に戻ってるから。慧兄はお茶でいいよね?」
「あ、うん」
慧はすでに洋菓子の棚の方に視線を投げている。
・・・既に意識はそちらのほうに飛んでいるらしい。
絢乃はくすりと笑い、自販機コーナーの方へと歩き出した。