蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
・・・数分後。
絢乃はペットボトルを片手に、車のところへと戻った。
しかし、車の鍵は慧が持っているため、中に入ることができない。
「・・・まだかなー・・・」
と、呟いた時。
後ろに止まっていた車から、ガラの悪そうな男が降りるのが見えた。
まだ若く、茶髪でヤンキーと言った感じの男だ。
・・・目を合わせない方がいいかも。
と思い、絢乃は慌てて目をそらしたが、逆にそれが男の目を引いたらしい。
「・・・よ、姉ちゃん? 誰かを待ってンの?」
「・・・」
明らかに待ってるようにしか見えないと思うのだが・・・。
絢乃は男から視線をそらすように俯いた。
そんな絢乃に男は近寄り、楽しげに顔を覗き込む。