蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
慧は首を傾げ、心配そうに絢乃を見る。
さきほどの鋭さなど微塵も感じさせない、その表情。
絢乃はしばらくぼうっと慧を見上げていたが、慌てて首を振った。
「う、うん。・・・大丈夫」
「そう? ・・・ならよかった」
慧はほっとしたように絢乃を見る。
・・・いつもと変わらない、その優しく穏やかな笑顔。
慧は絢乃の頭をぽんぽんと叩き、車の鍵を開けた。
「さ、車に乗ろうか、アヤ?」
「う、うん・・・」