蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
慧の言葉に、絢乃は心のどこかがホッとするのを感じた。
しかし・・・同時に、心の隅がチリッと痛む。
助手席のシートに凭れ掛かった絢乃の隣で、慧が絢乃には聞こえない小さな声でぽそりと呟く。
「・・・ほんとにそうなら、いいんだけどね・・・」
「え?」
「何でもないよ」
慧はにこりと笑い、絢乃にスティック状のチーズケーキを差し出した。
・・・どうやら慧はチーズケーキを選んだらしい。
こんがりと焼けて、とても美味しそうなチーズケーキだ。
絢乃はペットボトルを置き、差し出されたチーズケーキを受け取った。