蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】




慧の言葉に、絢乃は心のどこかがホッとするのを感じた。

しかし・・・同時に、心の隅がチリッと痛む。

助手席のシートに凭れ掛かった絢乃の隣で、慧が絢乃には聞こえない小さな声でぽそりと呟く。


「・・・ほんとにそうなら、いいんだけどね・・・」

「え?」

「何でもないよ」


慧はにこりと笑い、絢乃にスティック状のチーズケーキを差し出した。

・・・どうやら慧はチーズケーキを選んだらしい。

こんがりと焼けて、とても美味しそうなチーズケーキだ。

絢乃はペットボトルを置き、差し出されたチーズケーキを受け取った。



< 163 / 438 >

この作品をシェア

pagetop