蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】



16:00。

二人が乗った車は、那須の街から10分ほど車で走ったところにある、一軒の民家の前に止まった。

二人が車から降りると、玄関から二人の祖母・初枝が顔を見せた。


「よく来たね。さあ、中にお入り」


初枝は絢乃の母・時世と慧の母・昌美の母親であり、今はここ那須で一人で暮らしている。

母がいた頃は夏になると三人でこの家に来ていたが、母がアメリカに行ってからは、絢乃と慧だけでここに来ている。


「おじゃましまーす」


絢乃は言い、靴を脱いで玄関を上がった。

・・・祖母の家の、独特の空気。

どこか懐かしい匂い。

絢乃は慧とともに、奥の仏間へと入った。

祖父の仏壇に二人で線香をあげ、隣の畳の間に入る。


「道路は混んでいたかい?」

「そうでもなかったよ。佐野のあたりで少し渋滞したけど、それを過ぎたら順調に来たかな」


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