蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】




「・・・ね、慧兄」

「なに?」

「今、ウチの生活費ってどのくらいかかってるの?」


絢乃の言葉に、慧は驚いたように目を見開いた。

隣に座っている絢乃をじっと見つめ、口を開く。


「食費と光熱費、雑費でだいたい10万くらいだけど。・・・でも、なんで突然? どうしてそんなこと知りたいの?」

「・・・いや、私もせめて半分出そうかなって思って」

「え?」


慧はさらに目を丸くする。

・・・その、心底驚いたような表情。

絢乃は少し笑い、言った。


「・・・ほら、私も社会人だしね? いつまでも慧兄におんぶに抱っこじゃいけないかなって思って」

「・・・」

「いずれは一人暮らししようかなって思ってるし。今から慣れておかないとねー・・・」


と言いかけた絢乃だったが。



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