蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「・・・おい、お前、つぶあん買ってきたの?」
「・・・」
「饅頭といえばこしあんだろ? 何考えてんの、お前?」
卓海は少し不機嫌そうな顔で言う。
絢乃はぐっと唇を噛みしめ、心の中で叫んだ。
知るか───!!
そもそもそんな指示は受けていない。
無言の絢乃を、卓海はちらりと見る。
「・・・ってか、なんでオレに確認しないんだよ。それに、アイツもオレがこしあん好きってのは知ってるはずだけどな?」
「・・・え?」
卓海の言葉に、絢乃はきょとんとした。
・・・土産を選ぶとき、慧も一緒に居たのだが・・・。
絢乃はサービスエリアで饅頭を買った時のことを思い出した。