蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
2.策謀?
8月下旬。
絢乃は自席で、貿易システムのデータベースを調べていた。
先月、商品マスタ対応の設計書を卓海に貰っていたお蔭で、だいたいの流れは既に把握している。
あれから工数予想を卓海に提出し、許可が下りたので、これからデータベースの修正に入るところだ。
「・・・っと、商品マスタは・・・」
卓海は二重人格ではあるが、仕事は真面目だ。
・・・というかあれだけ仕事ができるのに、なぜ性格がああなのか。
それとも性格がああだから、仕事ができるのだろうか。
よくわからない。
雅人も仕事はできるが、性格は至って普通だ。
たまに鬼軍曹な一面を見せることはあるが、人格的な異常はない。
卓海に比べたら、遥かにまともな人格だ。
・・・と思う。
絢乃はパチパチとキーボードを叩きながら、データベースの動きを確認していた。
・・・このまま順調にいけば、来週末までには終わるかもしれない。
と、マウスに手を伸ばしたとき。