蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
黙り込んだ絢乃の顔を、卓海は横から覗き込んだ。
その目が、なぜかかすかに色を帯びている。
・・・その、鮮やかな瞳。
絢乃は思わず息を飲んだ。
そんな絢乃に、卓海は楽しげにくすっと笑って言う。
「・・・ま、いいよ。アイツ抜きでも、さ?」
「・・・」
「今度、二人で飲みに行こうよ。どう、絢乃ちゃん?」
突然の誘いに、絢乃は目を丸くした。
・・・驚きのあまり何も言えない。
絶句した絢乃の前で、春美がため息交じりに口を開いた。
「ちょっとあんた、あたしの可愛い後輩を毒牙にかけようとしてんじゃないわよ」
「・・・毒牙って。ひどい言われ様だね」
「さぁ行くよ、絢乃。こんな奴と一緒の空気吸ってると、頭が腐るよ?」