蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
15:00。
絢乃は第二開発課の脇の会議室で、貿易システム改訂の打ち合わせに参加していた。
今回の改訂は商品マスタの構成変更に関連する改訂で、データベースの部分については既に設計書を貰っている。
ちなみに絢乃が担当するのはデータベースの部分のみで、システム改訂の部分は橋本さんと香織が担当するらしい。
橋本さんが基本設計を、香織がプログラミングをするということだが・・・。
絢乃は渡された資料を見ながら、改訂の内容をチェックしていた。
「・・・というわけで、今回は受注の部分から修正が入る。ということはつまり、その後の一連の流れ全てに影響が出る。輸入も同じだ」
卓海はホワイトボードに流れを書きながら説明していく。
絢乃はふむ、と頷きながら卓海の説明を聞いていた。
・・・卓海の説明は明確で、とてもわかりやすい。
絢乃は途中まで聞いたところで、軽く手を挙げた。
「ハイ、絢乃ちゃん」
「あの。商品マスタの構成を確認したいので、テスト系に本番系から商品マスタをコピーしたいのですが、いいですか?」
「あぁ、構わないよ。商品名だけ適当に置き換えておいてね?」
にこり、と卓海は笑って言う。
絢乃はほっと息を吐いた。