蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
3.ギブアンドテイク
───15分後。
絢乃はなぜか第二開発課の会議室にいた。
その向かいには卓海がにこやかな顔で座り、机に肘をついて指を組んでいる。
会議室には二人だけで、他の課員達の姿はない。
「お前がオレに頼みごととは珍しいね。さ、言ってみなよ?」
「・・・」
───その笑顔が怖すぎるんですが。
とは言えず、絢乃は内心でビクビクしながら、持ってきたノートパソコンを開いた。
手早くデータベースのソフトを起動し、卓海に画面を見せる。
「これが、本番系からコピーしたテスト系の商品マスタなんですが・・・」
「ああ、この間言ってたヤツ?」
「はい。ただ、どういうわけか朝になるとこのデータが消えてて・・・」
もごもごと言った絢乃の前で、卓海はふむ、と画面を覗き込んだ。
じっと画面を見ながら、口を開く。