蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
春美の言葉に、純也が軽く頷いた。
・・・相変わらず陰鬱な雰囲気のその表情。
純也は絢乃の方に向き直り、口を開いた。
「去年は僕、そして一昨年は杉沢先輩でしたから、今年は必然的に秋月先輩ということになります」
「・・・うっ、そうなの?」
「ちなみに今年は主幹事が加納課長、副幹事が北條課長と聞いています。頑張ってくださいね、秋月先輩?」
純也の言葉に、絢乃は目の前がくらっとするのを感じた。
主幹事は毎年、課長クラスの管理職が務めている。
となると卓海が主幹事となっても何らおかしくはないのだが・・・。
絢乃はがくりと肩を落とした。
「ね、黒杉くん。・・・幹事って、具体的に何をするの?」
「まずは場所決めからですね。ちなみに去年、僕もいくつか案を出したのですが、残念ながら全てボツになってしまいました」
純也はどことなく気落ちした声で言う。
・・・いつも冷静で皮肉げな純也にしては珍しい。
とちょっと興味をそそられた絢乃は、純也に聞いてみた。