蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
5.鬼の策謀
二日後。
絢乃は定時後、第二開発課の会議室へと向かった。
これから組合旅行の幹事会合がある。
会議室に入ると、既に第一開発課の笹倉さんと松山さん、第二開発課の橋本さん、総務部の山田さん、そして雅人と卓海の姿があった。
「では初回会合を始めます。まずは場所決めからですね」
卓海はさっそくホワイトボードに候補地をいくつか書いていく。
2泊3日の日程なので、北陸や中部、東海、東北のあたりが主な候補地だ。
「ファミリー向けだと、あまりハードすぎない旅程の方がいいかもしれませんね?」
と声を上げた橋本さんに、雅人がふむ、と頷く。
「そうだな。前回は1/4が小学生以下の子供だった。恐らく今回も家族連れが多いだろう」
「となると、長距離の移動は避けた方が良さそうですね」
「ああ。高速で行けるところか、近場が無難だろうな。ちなみに前回は浜名湖でその前は安曇野だった。どちらも高速で片道3、4時間というところだ」