蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「な、なんで私、全ての日程に入ってるんですか!?」
絢乃は愕然とし、思わず叫んだ。
そんな絢乃に、卓海はにっこりと笑って口を開く。
・・・その、爽やかで優美な微笑み。
しかし絢乃にとっては、鬼の魔笑にしか見えない微笑み。
「なんでって。ホラ、女性幹事は一人しかいないでしょ? ファミリー向け、特に奥さんや子供には女性が応対した方がいいしね?」
「で、でも、だからって・・・っ」
「あぁ、安心して。手一杯になったら、他の幹事もサポートに回るから。ね?」
卓海はいつもの優雅な笑みで言う。
絢乃はその顔に手元のペンを投げつけたい思いを必死で堪えながら、ぶるぶると肩を震わせた。
・・・やはり、鬼だ。
これははっきり言って『コキ使われるかも』というレベルではない。
磨滅レベルだ。
青ざめた絢乃を、向かいに座った雅人が心配そうに見る。