蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
ちなみに、貿易システムのデータベースも絢乃が運用を担当している。
そのため、たまに卓海から仕事が指示されることもある。
卓海は普段はああいう感じだが、仕事となるとそれなりに厳しい。
そのギャップも、女性社員達のココロをくすぐる要因のようだ。
「・・・秋月さん、僕は上がりますよ」
メールを打っていた絢乃の横で、純也が鞄を片手に椅子から立ち上がった。
・・・『上がっていいですか』ではなく、『上がりますよ』。
もう慣れたとはいえ、この協調性のなさは社会人としてまずいような気もする。
と思ったのは向かいに座っていた春美も同じだったらしい。
「・・・ちょっと、黒杉。もう上がるの?」
「ええ。僕の今日のノルマはこなしましたから」
「ノルマって、あんたねぇ・・・。その根性、第一で北條さんに叩き直してもらったら?」