蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
2.水族館
翌日。
組合旅行初日。
午前に都内を出発した一行は、途中の関越道のサービスエリアで昼食を兼ねて休憩した後、新潟市の港近くにある水族館へと移動した。
「ではみなさん、14時になったらバスのところにお戻りください~」
幹事の笹倉さんがバスの前で大声を張り上げる。
今回の旅行は総勢60名ほどで、そのうち約半数が社員だ。
絢乃は旅行のしおりを片手に、笹倉さんとともに皆が水族館に入っていくのを見守った。
笹倉さんは30代前半で、浅黒い肌がトレードマークのいかにも体育会系という青年だ。
今回の旅行には、奥さんと子供が参加しているらしい。
なお、チケットはバスの中で既に配り済みだ。
「さて、秋月さん。僕たちも中に入ろうか?」
「そうですね」
皆が水族館に入ったのを確認した後、二人も水族館の中へと入っていった。