蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「あの、骨のない透き通ったヤツのどこがカワイイのか、オレには理解不能だね」
「・・・はぁ」
「アレに比べたら、お前の方が数倍可愛いよ。おもちゃとしても遊べるしね?」
卓海はいたずらっぽく笑い、絢乃の顔を覗き込んだ。
・・・その、男の色気を漂わせた黒い魔笑。
絢乃は思わず息を飲んだ。
クラゲと比べて可愛いと言われても、褒められているのかいないのか・・・
しかも、おもちゃって・・・
・・・と思うのに、なぜか頬がジワリと熱くなる。
甘さと棘を同時に胸に打ち込まれたような気がし、絢乃は何とも言えない思いで卓海を見た。
「オレは骨も甲殻もない海中生物を見ると、怖気が走るんだよ」
「・・・ってことは、タコとかイカとかも苦手ってことですか?」
「食べるのは平気なんだけどな。見るのはどうも苦手だ」