蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
4.加納兄妹
部屋を出た絢乃は、速足でホテルの裏口の方へと回った。
裏口はそのままビーチへと続いており、裏口の前にホテルが用意してくれた食材や機材がまとめて置かれている。
まずはあれをビーチに運ばねば・・・
と思った、その時。
「・・・ん?」
裏口のところに見覚えのある男の姿を発見し、絢乃は息を飲んだ。
・・・卓海だ。
そしてその前には、艶やかな長い茶髪の女の子が立っている。
年は20歳前半くらいだろうか。
絢乃の気配に気付いたのだろうか、彼女はその長い髪を揺らし、くるりと振り返った。
・・・雪のような白い肌に、鮮やかな唇。
はっきり言って物凄い美少女だ。
だが、どことなく面立ちが卓海に似ている。
驚いた絢乃に、美少女はその綺麗な目を細めてにこりと笑った。
「あら、噂をすれば影、ね?」
「・・・」