蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
前からなんとなくそれは感じていたが、今身を以てそれを知り、絢乃は雅人に惹かれるのを感じた。
人間として、そして尊敬する先輩として、上司として・・・。
絢乃は心の中で感謝しながら、ポカリをゆっくりと飲んだ。
そんな絢乃をどこかほっとしたような様子で眺めながら、雅人は口を開く。
「・・・お前はもう、部屋に戻れ」
「え、でも・・・」
「下手に動かれてまた倒れられたら、その方が困る。仕事ももうほとんど終わっているからな。・・・・慧君を呼ぶから、少し待っていろ」
言い、雅人は踵を返し救護室を出て行った。
絢乃はポカリを片手に、ぼうっとその背を見つめていた。