蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
6.心の奥の切望
───その日の夜。
絢乃はベッドの中で、不満そうな顔で横たわっていた。
あれから絢乃は救護室に駆け付けた慧に抱えられ、部屋へと戻された。
そしてそれからずっと、ベッドに縛り付けられている。
「・・・もう大丈夫なのに。テレビ見たいよー・・・」
「ダメ! トイレ以外はここにいること! いいね!?」
いつにない慧の剣幕に、絢乃はヒッと息を飲んだ。
慧は怒ることはめったにないが、怒るとかなり怖い。
そして今はその『めったにない時』だ。
・・・心配をかけてしまった手前、あまり強く出ることはできない。
絢乃はううっと内心で泣きながら、寝返りを打った。
「・・・お前、ちゃんとご飯は食べたの?」
「あ、うん。ちょこちょこ各テーブルで貰ってたから・・・」
絢乃は小さな声で言った。
・・・それに、あまり食欲がない。
今は固形物より、ポカリなどの液体物を摂りたい感じだ。
うーん、と唸った絢乃を、慧は心配そうに見る。