蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
9.恋愛談義?
ずっと動き回っていたせいか、どうやら自分の想像以上にお腹が空いていたらしい。
皿に置かれた食べ物をぱくぱく食べる絢乃を見、向かいに座った卓海がにっこりと笑う。
「いい食べっぷりだね、絢乃ちゃん?」
雅人がいるせいか、今はネコ被りモードらしい。
これが裏モードなら『よく食うな、お前』とか言うのだろうが・・・。
しかしこのメンツで慰労会とは、想像だにしていなかった。
絢乃の隣で、慧と雅人は酒を酌み交わしている。
「昨日は、妹がお世話になりました」
「いや、こちらこそ、無理をさせてしまって申し訳ない」
───なんというか、普通に社会人の会話だ。
ちょっとホッとした絢乃に、卓海がにこりと笑って言う。
「絢乃ちゃん。ハマグリ食べる?」
卓海は言い、七輪の上に置いてあったハマグリに箸を伸ばした。
・・・ネコを被っているせいか、異様に優しい。
絢乃は内心でヒィィと思いながら、必死に笑みを浮かべた。
そんな絢乃の隣で、慧が慌てた様子で言う。