蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
───夕食後。
二人はリビングで、ロールケーキとお茶をお伴にゲームの世界へと旅立っていた。
二人の手にはそれぞれ、PS3のコントローラーが握られている。
「・・・やばっ! もう回復ハーブがないっ」
「アヤ、一体どこに行ってんの!? そっちに行くと、ゾンビがチェーンソー持って・・・・ああほら、来たっ」
テレビの画面の端で、顔を包帯でぐるぐる巻きにしたゾンビがチェーンソーを振り上げる。
絢乃はヒィィと仰け反りながら、必死に画面の中で逃げ回った。
・・・ちなみに、今やっているのはバイオ5だ。
簡単に言うとゾンビを倒していくアドベンチャーゲームだが、謎解きもあったりと、それなりに奥が深い。
「ちょっと待ってて、今行くから! ・・・ってこの町、なんでこんなに肉屋が多いんだよ。肉屋しかないんじゃないの?」
「慧兄、肉屋はいいから早く・・・って、来た───!!」
画面の中で、チェーンソーを持ったゾンビの後ろから、大量のゾンビがわらわらと現れる。
愕然とする絢乃の隣で、慧が手慣れた様子でコントローラーを操作する。
やがてゾンビたちは一匹、また一匹と慧の武器の前に倒れ伏していった。
「・・・ナイフだけでも、なんとかなるもんだね」
と、息をつきながら言った慧に。
絢乃ははぁぁと大きく息をつき、言った。