蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
言いながら、卓海は慧に視線を移す。
・・・その、どこか悪戯っぽい視線。
まるで、挑むかのような・・・。
内心で『ん?』と思った絢乃の前で、慧も少し笑って口を開く。
「・・・のっぴきならない事情があってね。それに弁護士資格は、趣味で取ったようなものだから」
「・・・趣味?」
「そ。『異議あり!』ってのをやってみたかったんだよね。あの頃は若かったから」
趣味だけで取れるような資格では到底ないと思うのだが・・・。
しかも『異議あり!』って・・・。
と唖然とした絢乃の前で、卓海はさらに畳み掛けるように言う。
「しかもこいつが大学の時に付き合ってたのは、角倉沙耶。あのインテリ美人女優ですよ」
「・・・『タイムショッカー』に出てる、あの女優か?」
「ええ。慧が主席で彼女が次席。正に絵にかいたような頭脳派カップルってやつですね」