蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
その翌日。
ノートパソコンを開いて作業していた絢乃に、一通のメールが届いた。
森村課長からだ。
『来週に、会計基準変更のセミナーが池袋であります。
当社の監査を担当している監査法人が主催するもので、無料招待とのことです。
興味がある方は森村まで明日の夕方までに返信ください』
無料のセミナーか・・・。
絢乃は昨日の雅人との会話を思い出した。
昨日、あれから会議の後に雅人を捕まえて聞いてみたのだが・・・。
『説明するのは構わんが、恐らく、会計基準変更の基本的な内容を押さえてからの方が理解しやすいだろう』
『そうですか・・・』
『ついでに、会計の基礎的な部分についても学んでおくといい。いずれ必ず役に立つ』
雅人の言葉に、絢乃はふむと頷いた。
確かに、今雅人に聞いたところでちんぷんかんぷんかもしれない。
これを機にちょっと勉強してみようか。
と思ったところに、ちょうどセミナーの案内が来た。
・・・これは、ちょうどいいかもしれない。
絢乃はパチパチとキーボードを叩き、参加希望の旨をメールで送った。