蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「慧兄、頼むから銃とか使ってよ? チェーンソー持ってる奴にナイフで切りかかるとか、ありえないから!」
「でもこれが一番使いやすくていいんだけどなー・・・」
上級者なセリフをサラッと言い、慧は首を傾げる。
慧はどんなゲームでも自分なりのプレイスタイルがあり、それを貫こうとする。
それはそれでゲームの楽しみ方の一つではあるのだが・・・。
「無限ロケットランチャーとか持ってるクセに、何で使わないわけ? 宝の持ち腐れだよっ」
「だって、使ったら面白くないじゃん? 一発で終わっちゃうよ? ・・・それに無限て、一体どういう原理でそうなってんのか、そもそも物理的に考えて・・・・」
「そんなこと考えなくていいからっっ」
絢乃はがくりと肩を落とした。
兄は仕事でゲームの批評をしたりもするため、ゲームの腕はプロ級だ。
そして絢乃もどちらかというとゲーム好きのため、暇な夜はこうして二人でゲームをすることが多い。
その他にも映画やドラマを見たり、演劇を観たり、テーマパークに行ったりと、昔から一緒にいたせいかわりと趣味は似通っている。
もっとも、その全てにおいて、絢乃と慧の楽しむ観点は違っているのだが・・・。