蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】



セミナーは東池袋近くのオフィスビルの1フロアを貸し切って行われ、300人ほどが参加していた。

・・・なかなかの規模だ。

絢乃達は真ん中の前の方の席に陣取り、配られた資料をそれぞれ確認した。

だいたい無料のセミナーというのは、最後の30分ほどは主催会社のPRに充てられる。

今回も例外ではなく、最後の30分ほどは監査法人の業務内容のPRになっていたが、それも絢乃にとってはいろいろとためになる内容だった。

・・・来てよかった。

と思いながら、絢乃は17:30のセミナー終了まで、資料を片手に会計基準変更の話をじっくりと聞いていた。




───そして、セミナー終了後。

一行は現地で解散となり、絢乃は鞄を片手にJR池袋駅の方へと向かった。

皆、今日は直帰予定らしく、森村課長と橋本さんは東池袋から有楽町線で帰ることとなった。

そして菅沼さんは西武新宿線ということで、東口を入ったところで絢乃達と別れた。

・・・ちなみに。

池袋駅は東口に西武が、西口に東武がある。

某家電店のCMでも有名だが、絢乃はここに来るたび、つい出口を間違えそうになってしまう。

日頃来ていれば慣れるのだろうが、絢乃は池袋に来ることはあまりない。

絢乃はSuicaを片手に、きょろきょろと辺りを見回した。

JRの改札はどこだっけ・・・

と頭上の案内を見ていた、その時。


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