蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
絢乃は改札の前でようやく解放され、雅人に続いて改札を通った。
改札を出たところで、雅人はくるりと絢乃を振り返った。
眼鏡の奥の涼やかな瞳を細め、からかうように言う。
「お前を放っておいたらとんでもない所に行きそうだな?」
「・・・」
───いや、さすがに子供ではありませんから・・・
と言いかけたが、先ほど迷っていたのは事実だ。
何も言えない。
がくりと肩を落とした絢乃にくすりと笑い、雅人はそのままホームの方へと歩き出した。
「行くぞ、秋月」
「・・・ハイ・・・」