蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「・・・うぅっ、私のバカ・・・」
「へぇ、ようやく自覚したわけ。遅すぎだぞ、お前?」
突然横から掛かってきた声に、絢乃はびくっと背筋を伸ばした。
・・・見ると。
休憩スペースの端にある長椅子の向こうに、見知った顔が見える。
どうやら、長椅子で寝っ転がっていたらしい。
ちょうどここからだと死角になるので、まさか卓海がいるとは思ってもみなかった。
・・・というか。
自分はまずいことを聞かれてしまったのではなかろうか?
と思った絢乃の予想通り、卓海は起き上ってつかつかと絢乃の前に歩み寄ると、その桜色の唇を歪めて笑った。
「・・・さ、白状してもらおうか。昨日、軍曹と何かあったわけ? 誘ったって何?」
───直球すぎだろう。
少しは遠慮してほしい、と切実に思いながら絢乃はじりじりと後ずさった。
しかしそれに合わせ、卓海も一歩、また一歩と絢乃に近づく。
「・・・おっと。それ以上下がると、吸殻入れに激突するけど?」
「・・・っ」