蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
その日の夕刻。
絢乃は呆然自失の体で、電車に揺られていた。
・・・何も考えられない。
昼休みに真っ白になった頭は、午後の間復活せず、絢乃はほとんど仕事を進めることができなかった。
───あのあと。
あまりの言葉にポカンとした絢乃に、卓海は肩を揺らして笑いながら言った。
『そうだな。とりあえずお試しで1か月間。その間、ペナルティがあった場合は期間延長』
『・・・は、はあっ!?』
『良心的だろ。オレにしては』
・・・アナタは良心という言葉のイミを知っていますか?
と思わず言いそうになった絢乃だったが、1か月というのを聞き、ホッと胸を撫で下ろした。
そんな絢乃に、卓海はニッと笑って言う。
『というわけで、早速今週末、出かけるからな。駅の前まで迎えに行ってやる。アイツはうまく撒いてこい』
『・・・え、ええー・・・っ』