蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
デュアリスは車高が高いため、わりと座り心地がいい。
それにしても・・・・。
絢乃は車内をまじまじと見てしまった。
車内のインテリアはチャコールと黒で統一されており、とても洗練された感じだ。
けれどデュアリスというのが絢乃にはちょっと意外だった。
デュアリスはSUVタイプの車で、四駆モデルもある。
卓海の裏人格を知るまでは、『フェアレディとかに乗ってそうだな~』と思ったこともあったが・・・
けれど裏人格を知った今となっては、なんとなくわかるような気もする。
むしろフェアレディのような車は、『めんどくさい』とか言って乗らないだろう。
きょろきょろとする絢乃の隣で、卓海が運転しながら口を開く。
「冬山に行くとき、この手の車の方がラクなんだよ」
「・・・冬山?」
「ボード。・・・そう言えば昔、慧と行ったこともあったな。あいつはスキーだったが」
「え、慧兄ってスキーできるんですか?」
「なんだ、お前。妹なのに知らねぇの?」