蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
二時間後。
参道途中の磯料理屋で昼食を済ませた二人は、江の島の先端に広がる岩場に来ていた。
ちなみに昼食は新鮮なシラスや刺身がメインの磯料理で、絢乃はその美味しさに舌鼓を打った。
『築地でも良かったんだが、昼に行ってもロクな魚は残ってないからな』
『え、そうなんですか?』
絢乃は築地に行ったことはない。
一度行ってみたいと思ってはいるが・・・。
『オレがいつも行ってる店は、朝の5時に開いて10時には閉まる。行くなら3時起きだ』
『・・・』
イヤ、さすがにそれはちょっと・・・
しかし卓海はいろいろな店を知っているらしい。
そして、どちらかというと庶民派な店が多いような気がする。
そういう店に、これまでの彼女と行っていたのだろうか。
想像がつくような、つかないような・・・。
と思った絢乃に、卓海はため息交じりに言った。