蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
理由をはっきり聞いたわけではないが、きっとあの日の失態が原因だろう。
・・・それを思うと、胸の隅がキュッと痛む。
もう一度ちゃんと謝った方がいいのだろうかと思いつつも、雅人と二人きりになるタイミングはほとんどない。
これからも一緒に仕事をしていくことを考えたら、このままでいたくはない、と絢乃としては思うのだが・・・。
絢乃はぐっと手を拳に握りしめ、窓の外の景色を見た。
・・・今日こそは寝るわけにはいかない。
しかも車の所有者が所有者だ。
と絢乃は必死で目を開けていようとしたが、睡魔は容赦なく襲い掛かってくる。
・・・まずい、絶対にまずい・・・
と思いながらも。
いつのまにか、絢乃の意識は眠りの世界へと吸い込まれていった・・・。