蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
───なぜか、距離がものすごく近い。
いつのまにか、頬にあった指が顎にかかっている。
・・・え?
と思った瞬間。
・・・柔らかく温かいものが、唇に触れた。
その感触に、絢乃はびしっと体を固まらせた。
───まさか、これは。
目を見開いた絢乃の目前で、美しい二重の瞳がゆっくりと細められる。
「ようやく起きたか」
「・・・・・・っっ!!?」
絢乃は反射的に手を上げ、卓海の肩を押そうとした。
しかし卓海の体はびくとも動かず、至近距離でじーっと絢乃を見つめている。
・・・そのどこか楽しげな、色を帯びた瞳。
絢乃は一瞬でパニックになり、目を白黒させた。
一体何がどうなったのか、わからない。