蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
卓海と別れた後。
絢乃はぼうっとしたまま、マンションの方へと歩き出した。
・・・あまりに突然で、心の整理が追い付かない。
キスされた、ということもそうだが・・・・
別れ際の卓海のあの表情が、なぜか脳裏をよぎる。
「・・・」
そして、あの言葉も・・・。
正直よくわからないが、なぜか気になる。
けれど、深く考えるのが怖いような・・・
・・・そんな気もする。
絢乃はため息をつき、ふと道路の脇を見た。
絢乃が今歩いているのはちょうどコンビニの横で、店先に賃貸情報雑誌が山のように積まれている。
どうやら無料の情報誌のようだ。
絢乃はそれを一部手に取り、パラパラとめくりながら歩き出した。
「・・・ん?」