蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「うん。みんなで新宿に集まってね。美味しいパスタ屋だったよ~」
「へぇ。ところで卓海はもう帰ったの?」
「うん、・・・・」
と言いかけ、絢乃はさーっと青ざめた。
・・・シマッタ。
ぴたっと足を止めた絢乃の前に、慧が恐ろしいほどにこやかな笑顔で歩み寄る。
「お前がおれに隠し事なんて、100年早いよ?」
「・・・・・・っ」
「さて、じゃあ言ってもらおうか。お前が今日一日、どこで何をしていたのか」
慧はにこっと絢乃に笑いかける。
その、完璧なまでに美しい微笑み。
だがその笑顔の下に潜む感情に気が付かないほど、絢乃は鈍感ではない。
・・・慧は、怒っている。
絢乃はヒィっと青ざめながら、じりじりと後ずさりした・・・。